農地転用手続き
前編では手続き上の違いで見た農地の種類や、市街化区域内にある農地の転用の手続きについて書いてきました。

今回の中編では、市街化区域外の一般の農地を転用する前に必要な手続きについて解説していきます。

転用不要の農地活用資料請求

目次

前編:1.~2.(2)
 中編:2.(3)を説明
 後編:2.(4)~3.

2.農地転用の前の手続き

(3)市街化区域外の一般の農地

市街化区域の外の範囲の農地の転用の許可を受けるには、申請書と必要な書類を備えて農業委員会を通して、都道府県知事等(都道府県知事及び指定市町村の長)へ提出する必要があります。

申請書を提出してから許可が通知されるまでの行政側の動きは、転用する面積によって異なります。

原則として、申請があると、申請書は農業委員会の意見を付したうえで知事等に送付され、知事等が許可する場合は申請者へ許可の通知がされます。

ただし、30アールを超える農地を転用する場合は、農業委員会は都道府県の農業委員会ネットワーク機構に諮問を図る必要があります。また、4ヘクタールを超える農地を転用する場合は、知事等は農林水産大臣と協議する必要があります。

申請してから知事の判断が下されるまでの標準事務処理期間は5~8週間とされています。ただし、これは申請が受理されてからの期間であり、申請準備の期間を含めるとより長い期間を要します。

申請に必要な書類と入手場所は以下の通りです。

①定款(又は寄付行為)の写し及び法人の登記事項証明書(法人の場合のみ)
⇒法務局の窓口やネットでの申請をすることで手に入れることができます。

②申請に係る土地の登記事項証明書
⇒法務局の窓口やネットでの申請をすることで手に入れることができます。

③申請に係る土地の地番を表示する図面
⇒法務局の窓口やネットでの申請で手に入る公図を用いることが多いです。

④転用候補地の位置及び附近の状況を示す図面
⇒都市計画図や農業振興地域区域図を用いることが多いです。これらの図を市役所の都市計画課や農政課で購入し(数百円)、申請地点に「申請地」と記入して提出します。縮尺は10,000分1~50,000分の1程度です。

⑤転用候補地に建設しようとする建物または施設の面積位置および施設間の距離を表示する図面
⇒平面図(建物の場合は立面図)を提出します。必ずしもこのために特別に図面を用意する必要はなく、当該事業に関連する設計書等、既存の書類の写しを活用することも可能です。また、平面図については設計事務所に依頼しなければならないほどの厳密さは求められないところが多いです。また、縮尺は500分1~2,000分の1程度です。

⑥転用事業を実施するために必要な資力及び信用があることを証する書面
⇒預貯金残高証明書、融資証明書、補助金の内示通知書など転用事業の原資についての書面を用いて、転用事業を遂行するだけの資力があることを示します。このとき提出する書面は正式な証明書だけでなく、金融機関等が発行した融資を行うことを証する書面や申請者の預貯金通帳の写しを活用することも可能です。

⑦ 申請に係る農地を転用する行為の妨げとなる権利を有する者がある場合には、その同意があったことを証する書面
⇒所有権以外の権原に基づく申請の場合の所有者や、農地に抵当権が付着している場合の抵当権者などをいいます。転用について説明して同意を得たことを示す書面であれば十分で、特に書式に指定はありません。

⑧転用に関連して他法令の許認可等を了している場合には、その旨を証する書面
⇒転用の前に権利の移転・設定の許可が必要な5条転用など、他法令の許認可が転用よりも先に必要な場合は、そちらを先に取得して許認可の証明の書面を提出しましょう。

⑨申請に係る農地が土地改良区の地区内にある場合には、当該土地改良区の意見書(土地改良区に意見を求めた日から30日を経過してもその意見を得られない場合には、その事由を記載した書面)
⇒土地改良区内の農地が転用されると転用者は当該土地につき土地改良区の組合員としての資格を失い、それに関係する組合員との間で権利関係について決済金を支払う必要があります。この決済金を支払うと、土地改良区から農地の転用を認容する意見書を受けることができます。

⑩転用事業に関連して取水または排水につき、水利権者、漁業権者その他関係利者の同意を得ている場合には、その旨を証する書面
⇒⑦と同様に、必要があれば説明をして同意を得ましょう。

⑪その他参考となるべき書類
⇒ここで必要とされる書類は農業委員会によって異なるため、各農業委員会に問い合わせる必要があります。一例としては、委任状、転用の理由書、住民票、現況写真、転用工事の見積書などが挙げられます。転用の理由書については転用の正当性を訴える重要な書類ですので、特に力を入れて作成する必要があります。

また、申請書には、
①申請者の氏名、住所及び職業(法人は、名称、主たる事務所の所在地、業務の内容及び代表者の氏名)
②土地の所在、地番、地目、面積、利用状況及び普通収穫高
③転用の事由の詳細
④転用の時期及び転用の目的に係る事業又は施設の概要
⑤転用の目的に係る事業の資金計画
⑥転用することによって生ずる付近の農地、作物等の被害の防除施設の概要
⑦その他参考となるべき事項

を記載します(農地法施行規則31条)。

農地転用の許可要件は、農地の立地条件によって異なる要件と、立地にかかわらず農地一般についての要件に分かれます。

詳しくは以前の記事に記載しましたが、立地によって異なる要件は優良な農地ほど厳しくなります。したがって、優良な農地ほど転用は難しく、重要性の低い農地ほど転用は容易になります。

ただ、優良な農地は宅地としても優良な立地である場合もあり、転用の要請と農地保護の要請とが対立することもあります。

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