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生産緑地はどう変わる?都市農地の貸借の円滑化に関する法律案
目次
こんにちは。
今回は、2018年6月に国会を通過した、「都市農地の貸借の円滑化に関する法律案」についてわかりやすく解説していきます。
A.生産緑地を持っている人が、生産緑地を他の人や企業に貸しやすくなる法律です。
※生産緑地…都心部にある、指定された農地。税制において優遇があるが、30年間農地として維持しなければならないなどの制限がある。都心部の緑地を維持するために作られた。
A.今まで貸し付ける際に、二つの大きな障害がありましたが、それらが解消されるからです。
今まで農地の貸借は、賃貸借契約が自動的に更新されるいわゆる法定更新制度が適用されていました。ですので、農地を一旦貸したら、返してほしいタイミングで戻ってこないのでは?と貸す側に不安がありました。
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新制度ではこの法定更新制度の適用が除外されるので、農地の返却時期が調整しやすくなりました。
今まで生産緑地を相続した場合、相続税の納税猶予を受けることができました。
この納税猶予は、自分が死ぬまで生産緑地の管理を自分でしていれば支払わなくてよくなる、というものです。つまり、生産緑地を生産緑地のまま相続すれば、実質相続税が無料になる場合もありました。
参考ケース例:都内の畑1ヘクタールを親から1人で相続したとすると、
①納税猶予制度を受けない場合
遺産価値:2億円換算
課税対象額:1億5400万(基礎控除額3000万+600万×1を除いたもの)
②納税猶予制度を受けた場合
遺産価値:840万円換算
課税対象額:0円(基礎控除額以下のため)
ただし生産緑地を他人に貸し付けた場合、納税猶予が打ち切られてしまい、すぐに猶予されていた相続税を払わなければならなくなります。莫大な相続税は一般の方がすぐに支払える金額ではなく、実質貸し付けができない状況でした。
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新制度では、生産緑地を他人や企業に貸し付けても納税猶予を受け続けられるので、相続税の猶予を受けている土地でも他人や企業に貸し付けやすくなりました。
この法律案ができた背景はいくつかありますが、大きな3つの理由をご紹介します。
詳細は2022年問題に関する記事をご覧いただければと思いますが、2022年に生産緑地が一斉に宅地になり、都市部の地価が暴落するという問題を防ぐ意図があります。
都市部の農地を農業に意欲的な企業や個人に貸し出すことにより、農地のままで保つための国の施策と言えます。
都市農地には、様々な機能があります。
①都市住民に地元産の新鮮な農作物を供給する機能
②都市住民が身近に農作業に親しむ場所
③災害時の避難場所の提供 等
これらは実際の法案審議の議事録にも明記されており、都市農地の必要性は近年再注目されてきています。
実は、農地を一般の方が借りて栽培をする市民農園のニーズは、非常に増えてきております。この20年で市民農園の農園数は280%、面積は300%に急増しております。
参議院での審議の議事録では、齋藤国務大臣の以下の発言が記録されています。
「今後、都市部でも企業やNPO等による市民農園が開設しやすくなるものと考えています。」
「株式会社などの企業は収益性を重視することから、苗とか肥料等の農業資材をあらかじめ農園に準備して、アドバイザーが野菜作りをレクチャーするような、よりサービスが充実した高付加価値な市民農園の開設も期待できるし、また、NPO等の場合には、障害者や高齢者、児童等を対象とした多様な社会活動に沿った市民農園の開設が期待されると。」
A.生産緑地をお持ちの方は、貸し付け先を探し始めましょう。
この法律の施行に向けて、既に多くの生産緑地をお持ちの方が活用に向けて動いています。
貸し付ける先は、大きく二つございます。
①自分の農地を拡大しようとしている個人農家(若手農家の新規参入も含む)
②市民農園の開設などをしている企業・団体など
特に市民農園は基本的に近隣に住んでいる方にのみサービスを提供する形態であり、
地域内に開設できる数に実質的には限りがあるため、
開設は早い者勝ち、という側面があります。
いかがでしたでしょうか?
当社アグリメディアは、生産緑地を高付加価値な市民農園『シェア畑』として活用することをご提案しています。
是非、詳細資料より、その特長や開設事例をご覧ください。
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